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演劇集団キャラメルボックス 制作総指揮 加藤昌史

いかがでしたでしょうか、『ウルトラマリンブルー・クリスマス』。

今回の物語は、原作、というか「元ネタ」となったアメリカ映画『素晴らしき哉、人生!』が大好きな成井豊が、できるだけ原作をなぞりながら、舞台と時代を日本の高度経済成長期に置き換えて書き下ろした作品です。
元の映画を見たときに、アメリカらしい、というのと、アメリカのその時代だなぁ、と感じたのは、世界恐慌のシーンが出てくるところでした。

映画の方の主人公は「住宅金融」をお父さんから受け継いでいて、恐慌のニュースを聞いてみんなが銀行に殺到した時、新婚旅行のためのお金を預金者の人たちに渡してしまって行かれなくなる、というもの。『ウルトラマリンブルー・クリスマス』の主人公は建築会社で、洪水被害に遭った人たちを救うために使ってしまう、というふうに置き換えられていたわけですが。

いずれにしても、キャラメルボックスのお芝居で「お金」がこれだけ前面に出てくることはとても珍しいことだなぁ、と思いました。

稽古を見ながら僕は、主人公・辺見鐘司とそのお父さんは、どんなふうにどんな家を作っていたのだろうなぁ、と考えました。
きっと、「売れそうな家」ではなくて、「買う人が100年でも住み続けたい家」をいっしょに考えて、親身になって堅実な家を作ったのだろうなぁ、と想像してしまいました。もちろん、誰でも住みやすい最大公約数的な家や、誰でも住みたいと思う豪華な家をいっぱい作っておいてそれを売った方がビジネス的にも効率的なのだとは思います。 右の段落へ

が、辺見工務店はそういう道ではなく、一軒一軒、親身になって家を作っていたのだろうなぁ、と思います。

ラストシーンに関しては、「そんなうまいこと行くわけないじゃん」と思ってしまう人もいらっしゃるのでは、とも思います。

が、現実に、あるんですよ、いくらでも。
実際、キャラメルボックスは「結成28年」とか偉そうなことを言っていますが、何度となくピンチを迎えています。

が、そのたびに演劇仲間やお客さんたちの力で、奇跡的に助けられてきております。

普通に考えたら「奇跡」と思われるようなことの積み重ねで、僕たちは今日までこの劇団を続けることができています。そう何度もあって欲しくないんですが……。
辺見工務店もそうですが、きっと、「買う側」からしたら、「まさかあの会社がたいへんなことになるとは」と思われていたに違いありません。
キャラメルボックスだって、パッと目にはすごく羽振りが良さそうで、大劇団っぽくて、いろんな意味で「まさか」と思われているのではないかと思いますが、あなたが今日こうしてここに来てくださったおかげで、僕たちの今日はあるわけですし、逆に、あなたが今日ここにいらっしゃってくださらなかったら、僕たちの明日はもう無い可能性もあるのです。

演劇、というと、国から補助金で守られた芸術、のように思われている方もいらっしゃる模様ですが、残念ながら(?)キャラメルボックスは違います。

基本的にお客さんからいただくお金だけで動いている「営利団体」なのです。「営利」を追求する、というのが「会社」のすべきことなのだとは思いますが、この劇団も辺見工務店同様、「こういう芝居をやればもっとキャクが来るんぢゃね?」とか「こういう層が喜びそうなこういう企画にすればカネを持ってるキャクが押し寄せるんぢゃね?」という、お客さんのことをお金を出してくれる「キャク」として捉えて「いっぱいチケットが売れそうな舞台」を作るのではなく、どんな角度からどんなふうにご覧いただいても、どんな年齢層のお客さんがいらしてくださっても、ほっこりしてあたたかくて優しい気持ちになって劇場を後にしてくださり、「さぁ、明日からもっとがんばろっ!!」と思えるような舞台にする、ということを大前提に丁寧に丁寧に一本一本、一ステージ一ステージを積み重ねていく、ということで、なんとか今日がある、というやり方をしてきているのがキャラメルボックスです。

そんな僕たちを見たら、堀田不動産の社長さんからは「そんなんじゃダメだ」と叱られるのではないか、と思いますが、
おそらく、僕たちはきっとこのまま、主人公・辺見鐘司のようにひぃひぃ言いながらやり続けていくのではないかと思います。

でも本当は、今回のラストシーンみたいに、「みんなに助けてもらう」なんてことが無いのがいちばんっ!!

そのためにも、僕たちは、これからも毎日毎ステージ、全力で皆さんに楽しんでいただくべくあの手この手を繰り出していきますので、
是非、明日も劇場へっっっ!!(←それは無茶だろっ?!) 右の段落へ

2008年入団の劇団員・稲野杏那が、今冬で退団します。

僕としては2011年の『夏への扉』での「ハイヤードガール」の役がすごく印象的なんですが、日常ははっちゃけたよくしゃべる神戸っ子のおねーちゃん、という感じのイナノ。
ここ数年は、いくつものユニットで重用していただいていて、メインを張ると活きるタイプなんだろうなぁ、こいつは、と思っておりました。

やめたからと言って口を利かなくなるわけじゃないので、またいつか道は繋がることと思います。またねっ、イナノっ!!

キャラメルボックスの次回公演は、来春。
劇団としては代表作の一つであるアコースティックシアター『ヒトミ』、
そして新作アコースティックシアター『あなたがここにいればよかったのに』を、同期間に交互に上演します。

60分の短篇演劇「ハーフタイムシアター」ならまだしも、2時間もののアコースティックシアターを2本立て、というのは初めてのことです。

いろいろ思うことはあるのですが、それはまた、次の機会にっ!!

2013.11.15. Katoh Masafumi

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