また逢おうと竜馬は言った

作・演出 成井豊


物語
 世界一乗り物に弱いツアーコンダクター・岡本、自他ともに認める小心者の彼の愛読書は「竜馬がゆく」。困ったことがあると、彼の空想に竜馬が現われ、叱り飛ばしてくれる。竜馬のような「男」になりたい、と彼は思っていた。

 ある日、岡本は自分の代わりにツアーに出かけてくれた同僚・本郷を、空港まで迎えに来た。そこで岡本は、本郷の妻・ケイコと出会う。 ケイコは、喧嘩中の本郷と仲直りしようと、彼を迎えにきたのだ。ところが、彼女の目の前で、本郷は女性客・石倉に言い寄られる。それを見たケイコは、逆上する。岡本は、二人に挟まれてオロオロするばかり。

 そもそも今回の二人の喧嘩の原因は、岡本が本郷に代わってもらったせい。責任を感じた彼は、二人の離婚の危機を救おうと竜馬に罵倒され、勇気づけられながら立ち上がる。

 もう一人の原因・石倉には人に言えない事情があった。貿易商・棟方が、岡本の勤める旅行会社まで押しかけてくる。彼は石倉の夫で、遊び歩く彼女を連れ戻したいと訴える。だが、本当の彼の狙いは、ボストン美術館から盗まれた、安藤広重の浮世絵だった。石倉は、かつて棟方の部下で、言われるままに浮世絵を買い付けてきた。が、それが盗まれたものだと知り、棟方から逃げ出したのだった。ツアー客の面倒は最後まで見ると、石倉を助ける本郷。本郷とケイコの仲は、もはや最悪の状況になっていた。

 岡本は、懸命に本郷とケイコを説得する。だが、意地っ張りの二人は会おうとさえしない。そんなとき、岡本は棟方の探す浮世絵がケイコのもとにあることを知る。棟方の追及の手が、ケイコに迫る。ケイコが危ない!

岡本はケイコを救うために走る! いつもの頼りない岡本は消え、好きな女性のために命をかけようとする男の姿がそこにあった。

事件が無事に解決したとき、ケイコは岡本に尋ねる。「このまま、あの人とやり直した方がいいのかな。それとも、岡本さんと...」岡本は、精一杯胸を張って答える。
「志士ハ溝壑ニ在ルヲ忘レズ勇士ハソノ元ヲ失フヲ忘レズ」 それは、竜馬が、想いを寄せていたさな子に言った別れの言葉だった。


出演
岡本(旅行会社社員) 今井義博
竜馬上川隆也
ケイコ(本郷の妻)坂口理恵
本郷(岡本の同僚)岡田達也
棟方(美術商)西川浩幸
時田(棟方の部下)菅野良一
石倉(旅行客)岡田さつき
小久保(岡本の上司)大森美紀子
カオリ(ケイコの妹)明樹由佳
伸介(カオリの夫)・土方歳三篠田剛
さな子・さなえ(岡本の先輩)津田匠子


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photograph: Kazunori Ito