『また逢おうと竜馬は言った』再演に寄せて


 この作品は、1992年10月に東京郊外の聖蹟桜ヶ丘アウラホールで、「キャラメルボックス・アナザーフェイス」と銘打って行われた実験番外公演で初演されました。初演の演出は、劇団ショーマの高橋いさを。そして、坂本竜馬にやはりショーマから川原和久を客演で呼ぶなど、「キャラメルボックス vs 劇団ショーマの異文化接触」を目指して小劇場で行われた公演でした。それまで女優の人数が多いこともあり、女性が主人公が多かったキャラメルボックスが、初めて「男の生きざま」を取り上げた作品でもあります。しかし、ストーリーは「竜馬になりたい男」の話。大きく、強く生きたいのに生きられない、そんな男が、空想の竜馬の後押し、そして大きな事件に立ち向かうことで、たった一歩だけ、しかし大きな一歩を踏み出す、という物語です。

 美術品の盗難グループと、岡本・本郷のカーチェイスや格闘シーンなど、息をもつかせぬアクションの応酬と、淡い恋心が交錯する、本格エンターテインメント演劇が「また逢おうと竜馬は言った」です。

 初演時に小心者の主人公を演じ、川原氏演じる竜馬に叱り飛ばされていた上川隆也が、今回はなんと坂本竜馬。そして、昨夏の「ディアーフレンズ,ジェントルハーツ」、今春の「スケッチブック・ボイジャー」で主役を演じてきた“劇団一のいい人”今井義博が、二代目・岡本を演じるのも、初演との明確な相違と言えるでしょう。

 この初演の後、上川隆也は、NHKの70周年記念大型ドラマ「大地の子」の主役に抜擢され、1994年は1年間中国ロケのため劇団には出演していませんでした。しかし、このテレビドラマの中で仲代達矢さん、平田満さんをはじめとするプロ中のプロの役者さんたちと接し、大型ドラマを撮り終えた上川は、ひと回り大きくなって劇団に帰ってきました。

 十周年を迎え、新たな地平を目指すキャラメルボックスの意欲作「また逢おうと竜馬は言った」は、震災からの復興を目指す神戸で初日。そして竜馬の故郷・土佐は高知での初公演、そして九州初上陸も果たし、本拠地新宿シアターアプルでの20Daysの長期公演を行います。ご期待ください。


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photograph: Kazunori Ito