広くてすてきな宇宙じゃないか 劇団創立20周年記念公演2
『広くてすてきな宇宙じゃないか』
『僕のポケットは星でいっぱい』

作・演出 成井豊

★東京公演
2005年5月19日(木)〜6月12日(日)
シアターアプル

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★神戸公演
2005年6月18日(土)〜26日(日)
新神戸オリエンタル劇場

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広くてすてきな宇宙じゃないか

『広くてすてきな宇宙じゃないか』

CAST(予定)
大森美紀子 西川浩幸 中村恵子
岡内美喜子 青山千洋 畑中智行
大木初枝 三浦剛 實川貴美子
松坂嘉昭 渡邊安理


僕のポケットは星でいっぱい

『僕のポケットは星でいっぱい』

CAST(予定)
大内厚雄 岡田達也 坂口理恵
岡田さつき 前田綾 小川江利子
藤岡宏美 温井摩耶 筒井俊作
左東広之 阿部丈二 多田直人

僕のポケットは星でいっぱい
子供は大人の4倍悲しい / 成井豊

35歳を過ぎたあたりから、1年がどんどん短くなってきた。
時の流れるスピードが、年々速くなってきた。
何かの本で読んだのだが、
人間の感じる時間の長さは、その人の年齢に反比例するらしい。
10歳の子供の1年は、その子の人生の10分の1。
40歳のオジサンの1年は、その人の人生の40分の1。
つまり、10歳の子供の1年は、
40歳のオジサンの1年より、4倍も長い。
40歳のオジサンの時間は、
10歳の子供の時間より、4倍も速く流れる。
電車に乗った子供が、親に「まだ着かないの?」と聞くのは、
やむを得ないことなのだ。
乗ってから、まだ15分しか経ってなかったとしても、
子供には60分も経ったように感じられているのだから。
昼間、悲しいことがあって、夜、布団に入る。
オジサンはすぐに朝がやってくるのに、
子供にはなかなか来ない。
「子供だもん。一晩寝れば、ケロっとしてるよ」
こんな物言いにも、確かに一理はある。
が、子供には、その一晩が長いのだ。オジサンよりずっと。
とすれば、子供が感じる悲しみの深さは、
オジサンの4倍、深いのかもしれない。
小学4年生の時、飼っていた猫が、僕の手の中で息を引き取った。
あの時の胸の痛みは、今でも一瞬で蘇る。
子供は大人の4倍悲しい。
だからこそ、子供に言ってあげたいのだ。
「大丈夫。君のいる宇宙は、こんなに広くてすてきだよ」と。

冒険の旅に出る勇気 / 成井豊

去年の夏、家族で下田の海に行った時のこと。
波打ち際の少し手前の、小石まじりの砂浜を歩いたら、
足の裏が痛くて痛くて、泣きそうになった。
子供の頃は、どこでも、裸足で駆け回っていたのに。
娘が蟹を見つけて、捕まえてと言う。
手を伸ばしたところで、思わずためらった。
怖かったのだ。蟹が。蟹を触るのが。
娘が見ていたので、すぐに笑顔でつかんだけど。
しかし、岩場でゾワゾワしている虫たちは、
触るどころか、見るのもいやだったので、
絶対に近寄らないようにした。何度、娘に呼ばれても。
小学校を卒業してから、32年が過ぎた。
戻りたいとは思わない。懐かしいとも思わない。
覚えているのは、冬の朝の寒さ。
5年生になるまで、自転車に乗れなかったこと。
給食のおかずの味噌ペーストがどうしても食べられず、
5時間目の授業中に、泣きながら飲み込んだこと。
毎日、傷つき、心の中で泣き、
傷つくことを恐れ、周囲の人間の顔色をうかがっていた。
しかし、その頃の僕の足の裏は固く、
蟹どころか、ミミズでもカマキリでもつかむことができた。
今の僕と小学生の僕が、一緒に無人島に流されたら、
はたしてどちらが生き残るだろう。
悔しいけど、今の僕だとは断言できない。
今の僕には、冒険の旅に出る勇気などない。
小学生の僕はきっと泣くだろう。が、諦めないだろう。
彼のポケットは、まだまだ星でいっぱいだから。

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photo: 山脇孝志