「TWO」ストーリー
作・演出 成井豊


物語


マリがトオルと出会ったのは半年前だった。トオルはマリの住むマンションの隣にふらりとトランクひとつで引っ越してきたのだ。トオルが引っ越しをしたのは、これが初めてではなかった。1つの場所にいられるのは長くても1年で、彼はいつも旅のように引っ越しを繰り返していた。なぜ彼は旅を続けるのか、その理由を知っているのは彼の家族だけだった。

トオルは英会話教室を始めたが、生徒はマリの弟のノリオだけだった。マリはトオルの身の回りの世話を積極的に行い、ノリオもトオルによくなついていた。すべてがうまくいきそうだった。


トオルが旅を続けているのは、彼自身の持つ特殊な能力によるものだった。トオルは父親のヒサシが脳血栓で倒れたそのときに力を覚醒させた。トオルは右手をかざしただけで、ヒサシの脳血栓を治癒させたのだ。トオルはそのヒーリング能力を使う代わりに、その場所を離れなければならなくなったのだ。

それがトオルの旅の始まりだった。そしてトオルの右手は能力を使うことで誰かの病が治癒するたびに、少しずつ動かなくなっていった。医師であるトオルの兄のワタルと姉のエイコは、トオルのその能力を周囲に悟られないように努めると同時に、トオルの手がこれ以上失われないよう「もう力を使うな」と言い聞かせていた。それでもトオルは旅を続けていた。


トオルの前に新聞記者のノダが現れた。拳を破砕骨折してしまったボクサーのイナバをもう一度現役復帰させるために、トオルの力を必要としているという。

ノダはトオルがかつて病気を直したお婆さんの話を知り、トオルをずっと探していたのだ。マリとその家族はトオルの秘密を知ってしまった。そしてトオルは、ノリオが心房中核欠損症だったということを知ってしまう。トオルはイナバやノリオのために、また力を使うと言い出す。

トオルを案じるワタルやエイコも駆けつけてきた。マリもトオルを制止している。
「俺は何のために生きてる? 俺は誰かの病気を治すために生きているんだ。俺が生きてるって思えるのは、誰かの病気を治してる時だけなんだ。僕は僕のために力を使うんだ」
そう言って、トオルはみんなの見ている前で力を使い、ノリオの病気を治してしまう。


イナバは拳の治療を辞退した。トオルの姿に自分もボクサーを諦めて別の道へすすむことを決心したのだ。そして、トオルはまた旅立たなくてはならなくなった。

翌日、マリがトオルの部屋へ行くと、すでにトオルは部屋を後にしていた。マリはトオルを追いかけ、二人が初めて出会ったバス停でトオルを捕まえる。

マリはトオルについていくことを告げた。握手する二人、トオルはマリと二人で旅立つのだった。


CAST
トオル今井義博
マリ岡田さつき
カズエ津田匠子
ノリオ南塚康弘
ノダ菅野良一
イナバ大内厚雄
トモエダ前田綾
ワタル岡田達也
エイコ明樹由佳
ヒサシ西川浩幸

「TWO」関連グッズ
台本でもっと詳しく!

前のページに戻る
ホームページに戻る