| 孤独な者よ、立て! 成井豊
子供の頃から、いつも一人だった。
孤独という言葉を知るずっと前から、孤独だった。
孤独の味は苦い。
パーティーの類に出席するたびに、五分で帰りたくなる。
もちろん、自分で蒔いた種。
自分から他の人に寄っていこうとしない、僕が悪いのだ。
わかっている。が、どうしても寄っていけない。
ああ、そうだ。知らない人と話をするのは、とてつもなく煩わしい。
いや、知っている人だって、煩わしい。
映画は必ず一人で見に行く。
見終わった後、その映画について、人と語り合うのが楽しい?
そんなことはない。一人で駅に向かって、黙々と足を動かしながら、
印象に残ったシーンやセリフを反芻する。
そこに、他人の余計なおしゃべりなどいらない。
孤独の味は実は甘い。
自分以外の人間に気をつかわなくて済む。
この気楽さ、心地よさは何物にも代えがたい。
それなのに、時として、耐えられないほど淋しくなるのはなぜだ。
「腹減った」も「眠い」も確かに辛い。
が、「淋しい」も、それらに負けず劣らず辛い。
思えば、僕はこの「淋しい」という気持ちをバネにして、
今日まで生きてきた。芝居をやってきた。
他の人に寄っていくために、様々な作品を生み出してきた。
淋しさは力だ。
孤独な人間は、何かをするパワーを心の底に溜め込んでいる。
問題は、そのパワーを何に使うか。
僕には幸い、芝居があった。芝居で良かった。悪事じゃなくて。
だから、僕以外の孤独な人たちに言いたい。
臆するな。立て。君には何かを成し遂げる力がある。
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